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「ワンダンス」スペシャル対談

SKY-HI × 原作者 珈琲

10月8日(水)より放送が開始されるTVアニメ「ワンダンス」の放送を記念して、
原作者の珈琲とアーティストSKY-HIによるスペシャル対談を実施!
「ワンダンス」の持つ魅力を深堀りしながら、
オープニング主題歌「Stare In Wonder」の
制作過程など今作への熱い思いを語っていただきました。

ダンス描写とヒューマンドラマのハイレベルな融合

『ワンダンス』のアニメ化が決定したときの感想を教えてください。
珈琲

ビックリしましたね。アニメ化するとしたら、とんでもなく労力がかかる作品だと思っていたので、「本当にアニメにしようとする人たちがいるんだ」と驚きました。大変な作業になるのは間違いないにも関わらず、そんな難しいことに挑戦してくださることがありがたかったです。

SKY-HIさんはアニメの主題歌「Stare In Wonder」の作詞・作曲を担当されています。原作はご存じだったのでしょうか?
SKY-HI

俺、もともと『ワンダンス』の大ファンだったんですよ。メチャクチャ面白くて、4巻の帯にコメントも書かせていただきました。珈琲さんは俺のラジオ番組にゲスト出演してもらったこともあって、実は何年も交流を続けている間柄なんです。

珈琲

もう3~4年ぐらいになりますね。

SKY-HI

振り返ってみると『ワンダンス』は、かなり早い時期から注目を集めていましたよね。人気が加速度的に広がって、一気に火がついていった印象があります。

珈琲

実を言うと初期は売上的に苦労していて、もう打ち切り寸前みたいなところまで行ってたんです。そこで3巻を発売する頃に、「これまでの単行本の表紙を変えて浮上のきっかけにしよう」というアイデアが出て、現在のデザインになったら少し持ち直してきました。そして4巻の帯のおかげで、SKY-HIさんのファンの皆さんにも伝わったというのが、僕の実感です。ダンスが好きな人たちにも『ワンダンス』を知ってもらえたことがとても大きかった。

SKY-HI

作品に少しでも貢献できていたなら良かったです。

SKY-HIさんは『ワンダンス』のどこに魅力を覚えたのでしょうか?
SKY-HI

やはりストリートダンスを題材にしている点ですね。ダンスの中でも、マンガで表現するのがとくに難しいジャンルだと思っていて。たとえばバレエや社交ダンスであれば大会というわかりやすい舞台があるので、ストーリーは比較的組み立てやすいと思うんです。でもストリートダンスは、そういったコンペティションで勝つことが目的ではなく、仲間との交流の場から自然に生まれたカルチャーですから。『ワンダンス』にも大会は出てきますが、それ自体が物語のテーマにはなっていないですよね。

たしかに、ストリートダンスはスポーツとも違う印象を受けます。
SKY-HI

もしサッカーマンガであれば技術や戦略を描いた教科書的な作品でも成立しますが、ストリートダンスには馴染まない。競技ではないため、本質的な部分は言葉や形にするのが難しいんです。だからこそ、かつてダンサーを目指し、そのカルチャーにどっぷり浸かっていた珈琲さんにしか生み出せない作品になっている。

珈琲

ありがとうございます。嬉しいです。

SKY-HI

その上で『ワンダンス』がすごいのは、ヒューマンドラマとしての強度もあるところです。ダンスファン以外も夢中にさせる突破力が備わっているんですよ。カボ君の湾田さんに対する感情や、ダンス部の伊折先輩と恩ちゃんの関係も面白くて、次第に愛着が湧いてくる。同級生であるホトの、ちょっと軽薄だけどカボ君を見守っている感じも含めて、その瑞々しさに俺はすごく引き込まれるんです。ダンスファンがうなるようなパフォーマンスを描きながら、青春マンガとしても面白いなんて希有な作品ですよ。『ワンダンス』をきっかけにダンスの魅力を知った読者も大勢いて、カルチャー全体に寄与しているんでしょうね。……すみません、だんだん評論家みたいになってきましたね。

SKY-HIさんもダンスの経験がありますが、共感したシーンはありますか?
SKY-HI

いっぱいあります。カボ君がダンス部の見学でリズムトレーニングしたときに、全然上手く踊れなくて「俺だけヘタすぎて――」って落ち込む感覚とか。「みんなが自分のことを笑っているんじゃないか」みたいな被害妄想は俺もあったなぁ。

珈琲

SKY-HIさんでも、そんなこと思っていたんですか。

SKY-HI

マジでありましたよ。ピックアップですら嫌でしたから。レッスンで上手かった生徒を、お手本としてみんなの前で踊らせるんです。選ばれたことを素直に喜べる子もいたけれど、俺は苦手でしたね。自分の世代はまだ学校でダンスが必修じゃなくて、若い頃から踊っていた子は、いわゆる陽キャが多かった。でも俺はそういうタイプじゃなかったから、カボ君にはすごくシンパシーを感じています。あの頃を思い出して、羞恥心に苛まれながらページをめくっていました。

譲れない思いから生まれたアニメのオープニングテーマ

主題歌「Stare In Wonder」が誕生した経緯をおしえてください。珈琲先生からリクエストはありましたか?
珈琲

僕としては、BE:FIRSTの皆さんがめちゃめちゃカッコよく踊る姿が目に浮かぶような、CMで流れるたびに「これ、めっちゃ踊れそうじゃん!」と思える曲を期待していました。

SKY-HI

「Stare In Wonder」を作り上げるまでには葛藤がありました。放送枠も深夜アニメとしては早めの23時台スタートで、ダンスを知らない人たちが興味を持つ入口になるような主題歌でなければいけません。それにアニメの主題歌はBPMに関わらず、曲そのものに勢いがないと、オープニング映像に必要とされる派手さが担保できなくなってしまうものなんです。

アニメーションを乗せにくい曲になるということですね。
SKY-HI

そうです。一方で、ストリートダンスの曲は削ぎ落とされたシンプルなものほど良いとされているため、アニメ主題歌との相性は必ずしも良いとは言えない。そのバランスをどうすればいいのか非常に悩んで、『ワンダンス』のストリート成分と青春らしさの板挟みになっていました。その結果、デモ音源は全部で5つほど作りました。

珈琲

最初は違うデモを聞かせていただいていたのですがSKY-HIさんと連絡を取ったら「Stare In Wonder」のデモを送ってくれて。それを聴いた瞬間「すごくいい!絶対にこれですよ」となったんです。

SKY-HI

実は「Stare In Wonder」がデモの中でもっとも手応えがあった曲でしたから、俺としても原作者に選んでいただけたことはクリエイター冥利に尽きる出来事でした。
『ワンダンス』の主題歌ということは、それこそ一生世に残る曲になりますよね。後悔はしたくないという気持ちが強くて、作品に関わった全員が納得できるものにしたかった。諦めずにやり切れたことにホッとしています。

「Stare In Wonder」というタイトルをつけた理由も教えてください。
SKY-HI

タイトルにWonderを入れることは決まっていたのですが、「Stare」には少しネガティブなニュアンスもあるので、別の言葉に置き換えようかなと。リリックに入れた「Only one Wonder」の方がいいかもしれないとか、いろいろ考えた結果、最初の「Stare In Wonder」に戻ってきました。

珈琲

僕も「Stare In Wonder」が気に入っていたので安心しました。

SKY-HI

カボ君っぽいタイトルですよね。最終的な決め手はそこでした。『ワンダンス』の主人公はカボ君ですから。彼の一人称の物語である以上、「Stare In Wonder」がふさわしいと感じました。

リスペクトを込めて新たな表現に挑む

原作には実在の楽曲が多数出てきますが、どのような基準で選ばれているのでしょうか?
珈琲

最初は高校生らしさを意識して、メジャーな曲から選ぶようにしていました。コアな曲をいきなり出しても読者が入っていけないだろうなと。原作の2話でカボ君と湾田さんが練習するときのエド・シーランも、その流れでの選曲です。

SKY-HI

「Shape of You」ですね。

珈琲

はい。これは偶然なのですが、エド・シーランはもともとカボくんと同じく吃音症だったそうなんです。エミネムのラップを練習していたら、吃音が治ったという話があります。僕はそれを知らずに使っていたので、ファンの方に指摘を受けて驚きました。

SKY-HI

それはすごい偶然ですね……。あとカボ君はバトルで2Pacの「Changes ft. Talent」を選びますよね。ああいう曲をどうして知っているんだろうなと不思議だった。

珈琲

カボ君はもともとヒップホップが好きなんですよ。

SKY-HI

ダンスじゃなくて、音楽としてのヒップポップってことですね。たしかに好きじゃないと2Pacはスッと出てこない。カボ君はもしかしたらラッパーになっていた未来もあるのかも(笑)。

珈琲

ラップは吃音でもできますからね。1話に登場するスキャットマン・ジョンも吃音でしたし、僕自身もカラオケなら歌えました。

原作の選曲について、SKY-HIさんはどう思いますか?
SKY-HI

クラブでよく流れる定番曲になっていないのが、逆にすごくリアルでいいんですよ。そこも教科書っぽさがないですよね。「ハウス ダンス 有名」でChatGPTに聞いてみました、って感じが一切しない(笑)。そのおかげで『ワンダンス』の世界が本当に実在しているように思えるんです。

珈琲

ストーリーが進んでからは自分の好きな曲を使いたくなって、僕がダンサーを目指していた頃に練習していた曲を登場させるようになりました。今ではだいぶ個人的なセレクトになっています。令和の高校生が選ぶ曲じゃないですよね(笑)。

SKY-HI

いや、そうとも言えないですよ。今はストリーミングの時代だから、若い子でも会話に昔の曲が出てくることが結構あるんです。最近の楽曲トップ40について話していたら、90年代のオーセンティックな曲の話題がポロッと出てきたりする。そのあたりも含めてリアルだなと。

珈琲

それは全然意図してなかったです。

SKY-HI

創作物は必ずしも経験から生まれる必要はないけれど、経験からしか出せない良さというのは確実にある。とくにダンスは表層をなぞるだけでは描けないジャンルですから、そこは珈琲さんが実際にダンスをやっていたことが活きているんじゃないかと。『ワンダンス』がどんなに売れて影響が広がっても、模倣できない部分があるはずです。

珈琲

たしかに、僕のフォロワーみたいな人は一人もいないですね。

SKY-HI

今後も現れないんじゃないですか。まず10年ぐらいダンスをしないといけないから(笑)。

最後にアニメ『ワンダンス』をご覧になる皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
珈琲

ダンスシーンの一部を拝見したのですが、モーションキャプチャを活用していて、キャラクターごとに専任のダンサーさんを起用しています。それぞれの個性を活かして表現されていて、細部までこだわりが感じられました。ダンサーはほんの一瞬の体の揺れまで神経を研ぎ澄ませているので、それをきちんと反映させるのは相当骨が折れるはずですが、スタッフさんの熱意が伝わってきましたよ。

SKY-HI

作品にかける本気度がわかりますよね。モーションアクターも第一線で活躍するダンサーが揃っていて、その名前を見ただけで原作をリスペクトしているのがわかります。

珈琲

さらにアニメではさまざまなアーティストが参加して、オリジナル楽曲を30曲以上作っていただけたのも、すごいことです。繰り返しになりますが、ハードルが高いことに挑戦してくれているのが心強いです。

SKY-HI

アニメ業界は、自分たちから見ると活気にあふれているように映るんです。そうした場にいる方々が立ち止まることなく、新しいチャレンジを続けようとしている。その姿勢に憧れますし、感謝の気持ちがありますね。俺も完成映像を早く観たいです。

TVアニメ「ワンダンス」 2025108より毎週水曜2345~ テレビ朝日系全国ネット“IMAnimation W”枠ほかにて放送開始!※一部地域を除く

【イントロダクション】
自分の気持ちを上手く表現できない、
吃音きつおん症の高校生・小谷花木こたにかぼく(CV.内山昂輝)。
そんな彼が惹かれたのは、周りの目を気にせず
ダンスを追い求める同級生・湾田光莉わんだひかり(CV.羊宮妃那)。
“なんか、自由になれる感じがするー”
音楽によって引き出される、感情、生い立ち、コンプレックスー
言葉がいらない“フリースタイル“な表現を求めて、
未経験のダンスの世界に挑む!
【ボイスキャスト】
内山昂輝/羊宮妃那/諏訪彩花/増田俊樹/内田雄馬 ほか
【ダンスキャスト】
KAITA /KANATA/ReiNa/YOUTEE/YU-KI ほか
【主題歌】
オープニングテーマ:
『Stare In Wonder』 BE:FIRST(B-ME)
エンディングテーマ:
『Wondrous』 ELSEE(Epic Records Japan)

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